こんな糖の塊を食べたら、今日せっかく運動した分がおじゃんになってしまう。
それに、食べた瞬間はおいしー、幸せーってなるんだろうけど、絶対その後の罪悪感が半端ない。
苛立ちを露わにしながらそう言うと、榊原さんがおもむろにショートケーキを一つ手に取って一口、口に入れた。
「あまっ」
少し羨ましくてその様子を見ていると、そのケーキが今度は私の口元へ。
「だから食べないって……っ」
「いいから一口」
「うぅーっ」
目の前にぐいっと差し出されついに根負け、一口その禁断の糖の塊を口に入れた。
そこまで甘くない上品な生クリーム、ふわっと一瞬にして口の中でとけて消える。
スポンジもしっとりとしていてほどけるように口の中へ広がっていった。
……そして甘酸っぱい苺。
「おいしい?」
そう尋ねられ、納得いかないように眉を寄せながら無言でこくんと頷く。
それに嬉しそうに社長さんが笑うと、もう一口と差し出してきた。
「もうだめ」
「いいから、ほら」
そう言って私の目の前にショートケーキをちらつかせて誘惑してくる。
一度その味を知ってしまったら、止まらない。
促されるまま、社長さんの手にあるケーキへ口を付ける。
まるでこれじゃ餌付けされているようだ。
止まらなくて、結局そのまま全部食べてしまった。
……あー、これで幸せタイムは終わり、次の瞬間からやってくるのは猛烈な罪悪感……、
なんて、唇を噛みしめていると、そこへ榊原さんの生クリームがついた指が割入ってくる。
「最後までちゃんと舐めて」
「ん……っ」
更に眉を寄せて苦悶の表情をするが、その指は強引に口の中まで入って来た。
仕方なく言われた通り、その固い指を遠慮がちに舐める。
うっすら目を開けると、じっと私の顔を見ている榊原さんの目が合う。
いやだ、今すごくだらしない顔してる。
恥ずかしくて舌を止めると、それを許さないとでもいうように、もう一本指が入って来て私の舌をぐっと押した。


