「……それでも、だめ。可愛い、細い、は正義であって強さなんだから」
「なんだよ、その持論」
「本当だよ。東京、しかもこんな都心にいたら尚更そう感じる」
「だからって、考えが極端過ぎるだろ」
「そんなことない。私の人生は下剋上だから、どこまで成り上がれるか自分の努力次第ならやるしかないの。人生あがいてあがいて、あがいた者勝ちだって証明したいの」
そうだ、絶対見返してやるんだから。
「27年生きてきて、あ、今日で28年か、うわ最悪、嫌なこと思い出しちゃった」
「は?お前今日誕生日なの?」
「え?そうだけど?」
「早く言えよ」
「なんで?もう祝えるような年じゃないし、全然めでたくないし、祝われても嬉しくないし。子どもの頃は一年で一番最高の日だったのに、今じゃ一番来てほしくない日だよ」
あまり考えないように、こうやってダイエットにも精を出していたのに。
はぁ、と短いため息をついて、更にブツブツ独り言のように続ける。
「……でも結婚して誰かに貰われたらこの考えも変わるのかな?でも、こんな可愛いが正義なんて言っちゃってる私にはもう、誕生日を素直に喜べることなんてないのかな。あー、それはそれで寂しい」
「ケーキ何が良い?」
「ねぇ私の話聞いてた?」
深刻そうな私には目もくれない社長様。
「色々考え過ぎなんだよ。年取るとかまた結婚しづらくなるとか考えずに、一年で一番特別な日なんだから普通に祝えば良いだろ」
家に戻ってからも人の気も知らずにどこか外でご飯食べようと言ってきたけど、祝う必要なんてないと繰り返し断った。
本当にこの人は、何を考えているんだか知らないけど、私を甘やかしたくてしょうがないらしい。
そんな彼をシカトして、自分はお手伝いさんらしく夕飯の買い出しのために外へ出た。
どうしようか、今日はチアシード入りのアイスコーヒーでも出してやろうか。


