そして、数分後……、
プールの端で、微笑んでいる彼の姿が。濡れた髪をかきあげて、私に向かって言う。
「俺の勝ちだな」
そんな私はというと泳いでいる途中、足をつってしまいコースの途中で片足立ちになって立ちつくしていた。
「だめだよ、足釣っちゃったからもう一回!」
「どうせ、もう一回やったって結果は見えてる」
プールから上がると、プールサイドから私が立ちつくすところまで近づいてきて微笑みながら私を眺める彼。
あれだけ大見得切ってこのザマだ、おかしくてしょうがないのだろう。
「……ちょっと、見てないで早く助けて」
そう言って睨むと、くくっと押し殺すように笑った。
「そんな可愛くない言い方あるか」
ほら、そう言ってプールサイドから手が伸びる。
その手を取ってプールから出ようするが、片足ではどうもふんばりがきかない。
そうこうしていたら、榊原さんの両手が脇の下に伸びてきてそのまま抱き上げられた。
そしてそのまま引き上げられる。
「あ、あんまり体近づけないで」
「は?このまま突き落とすぞ」
「だって、近い……っ」
片足をつけず、榊原さんの肩を借りて一本の足で体を支えた。
そのまま、デッキチェアへ連れて行ってもらう。
「これ位でちょうどいいと思うけどな、もう少し太ったって良い位だ」
私の体を支えながら、脇腹をつままれた。
突然のことに驚いて、ひゃっと変な声を出すと面白そうに笑われてしまった。
思わず、ムっとして反論する。
「なんで榊原さんの好みに合わせなきゃいけないの?」
「その方が抱き心地が良いだろ」
「か、体まで契約主様の要望に答えなきゃいけないの?」
「だって、お金欲しいんだろ?」
そう言われると何も言い返せなくなってしまう。
それでもやっぱりダイエットはしなくちゃ。
日ごろの甘えと怠惰が、こうやって体に出てきてるんだもん。


