次の日も俺は裏庭に行った。
そしたらもう蒼井さんがいて、昨日と同じ場所で寝ていた。
俺はまた花を描いて、時々蒼井さんを見る。
無防備だな。
俺は昨日と今日しかここに来てないけど、蒼井さんはその前からいつもここで寝てんのかな?
昨日、俺が起こしてなかったら起きれなかったっぽいけど、今まで大丈夫だったのかな?
それに、もし変な人が来てたら襲われてたかもしれない。
……不用心。
5時半くらいだと思う。
蒼井さんが目を覚まし、んーっと小さな声を漏らして伸びをする。
今日は起きれた様だ。
「君、昨日もいたよね。」
「あぁ。」
いきなり話しかけられてびっくりした。
まだ眠いのか、木に寄っ掛かりながら目を擦る。
「昨日はありがと。」
「…いや、いいよ。」
一瞬何のことか分からなかった。
わざわざ礼なんていいのに。
「…カネキくん?」
首を傾げて、半信半疑で聞いてくる。
これは、俺の名前を呼ぼうとして間違えたのか?
「神木。」
つい、笑ってしまった。
「神木くん。…何描いてんの?」
「花。」
「見せて。」
少し迷ったが、別に減るもんじゃない。
でも、違うページに描いてる蒼井さんを見られたら、絶対に引かれる。
「ん。」
スケッチブックは渡さずに花を描いたページを開いて見せた。
「凄いなぁ。」
「ありがと。」
俺の絵を見て、それと同じ花を見つけては、この花かぁって言いながら花を愛でる。
あぁ、まただ。
無性に描きたい衝動に襲われた。