木曜日になって、放課後になって、美術室に用があるから行って、その後裏門に行くと瑠奈は寝ていた。
下校時刻になって瑠奈を起こして、途中まで隣を歩いて帰って。
いつの間にか金曜日になって、また放課後になって…。
「雨降りそう。」
「だな。」
空が灰色に染まっていて、今にも雨が降り出しそうだった。
降ってしまったら、どうするんだろ。
帰るのかな…。
蒼井さんはこの前と同じ体勢で、空を見上げていた。
「降らないといいな。」
「うん、そうだね。」
すこし寂しそうに笑った。
「なんか描く?」
しばらく経っても蒼井さんは寝る体制にはいらなかったから。
「うん。」
また、鉛筆と消しゴム、スケッチブックの真っ白なページを1枚、下敷きを渡す。
「何描くの。」
瑠奈はすこしの間考え、何かを思いついたように笑った。
「秘密。」
「なんだそれ。」
「出来てからのお楽しみ。」
そう言って、今から悪戯でもするかの様な顔をする。
「はいはい。」
よっぽどいい物を思いついたのかな…。
すると、瑠奈は突然立ち上がって、いつもの場所より前に来て座る。
二人の距離が縮まった。
1メートルくらい。
近いな……。
こっちの方に描きたいものがあるのか。
「俺邪魔?」
「いや、そこにいて。動かないで。」
「…おう。」
何描くんだろ。
…集中しよ。