「ルカちゃん」



今は帰り道

私は楪葉家に向かっていた


ルカちゃんに声を掛けると肩が揺れた

その瞳はとても切なそうに伏せられて

次に瞼を持ち上げた時にはいつものルカちゃんに戻っていた



どうして、だろう

彼女はとても幸せそうだったのに

なのに、どうしてこんなに哀しそうに見えるんだろう


ルカちゃんはゆっくりと口を開く

そして2人だけしか聞こえないような声で私に問うた




「ねぇ、愛桜?」

「どうしたの、ルカちゃん」

「貴女はあの場所に、戻りたい?」

「...戻りたくなくても、戻るのだから私の意思は関係ないよ」





もしかして、気にしてくれてるの?

だから、そんなに哀しそうなの?




「....大丈夫、心配しないでよ。"お姉ちゃん"。」




私とルカちゃんは異父姉妹だ


私の本当のお母さんが昔、襲われたときに妊娠してしまった

生んだはよかったけど、その後精神状態も良くならないし

襲われた時のことを思い出すから、という理由だけで

父の親友である煉さんたちに預けられた



という話を幼いながら聞いた覚えがある

まあ、そのお母さんも私が生まれて数週間後に亡くなっちゃったんだけど