そうだった。


先生に『こっちを見て話して』と文句を言ったのは私だったね。



なのに、今は私の方が先生を見れない。



あんな上履きだし、私はこんなだし、嫌がらせを受けてるのなんて、誰でもわかるはず・・・。



「ちゃんと話してみろ。」


そう言う先生の声色は、いつになく優しかった。

だけど、やっぱり先生に甘える訳にはいかない。


「本当に大丈夫ですから!」



最後まで顔を上げられず、逃げるようにその場を後にした。



哀れな上履きを先生の手に残したまま・・・。