「もういい加減に離れてよ!」


「怒ってんの?」


吊り上がった私の目を覗き込みながら、呑気に聞いて離れる。


「辺り前でしょ!実兄に抱き着かれてもうれしくない。それに……」


「それに、何?」


「ううん、何でもない。」


私は言いかけた言葉をグッと飲み込んだ。


いくら兄妹でも言えないことがある。


ううん、シスコンだけど、私を思ってくれてる兄だから言えない。


「なんだよ、言えよ。」


「だから何でもないって。」


「本当に?」


「本当に!…もう、さっさと帰ろう!」


友兄は訝しそうに私を見ていたけど、強引に話しを終わりにして、4人で教室を後にした。