ライ【完】

お葬式も出棺も終わっても

私は泣かなかった。

だって、雷太は生きてるもん。

そう信じていたから。

『志穂って彼氏が死んでも泣かないんだね。』

あの日雷太のことを心配していた

メンバーの女の子は出棺のあと

私を人間じゃないというような目で見ながら

そう言った。

――この子は何を言ってるの?

『雷太は生きてるよ。』

真顔でそう言うと彼女は苦笑いした。

『何言ってるの?雷太くんは死んじゃたよ。』

『…雷太は引っ越したよ。』

『は?』

『雷太は何も言わずに引っ越したの。』

私がそう言うと彼女は

悲しそうな目で私を見た。

『志穂、最低だね。』

そう言い残して

その子は涙目になりながら

私の前を去っていった。