ライ【完】

バンドメンバーと急いで

雷太のお母さんに教えてもらった病院に来た。

ねぇ、嘘でしょ?雷太。

事故なんて嘘でしょ!?

『雷太!』

そして教えてもらった番号の

病室に雷太の名前を呼んで駆け込む。

でも、

そこにいたのは白い布を顔にかけられた

雷太みたいな人だった。

――――そう。これは雷太本人。

でも、この時信じられなくて

雷太じゃない人だとしか

考えられなかった。

これは雷太?

ううん。違う。

そうだよ。

その隣で泣いているお母さんも

雷太のお母さんに似ているけど

本人じゃない。

そう頭が言って

目の前の情報をシャットアウトした。

わたしの後ろで他のメンバーが

すすり泣く声が聞こえた。

ううん、何も聞こえない。

私はこの日泣かなかった。