「知ってる。」

ライから返ってきたのは予想もしなかった

返事で。

「俺だって――俺にとって一番大切な人は志穂だから。」

と私を真っ直ぐ見てそう言った。

ﾄﾞｷｯ―――

その言葉に不覚にもときめいてしまう。

大切な人って…それって…

「なんだか…告白みたいだね。」

自分で言っといて恥ずかしくなって

下を向いた。

ライからは何も返ってこない。

あ…今度こそライを怒らせたかも。

そう思って恐る恐る顔をあげると

そこには顔を真っ赤にして私を見つめる

ライがいた。

「ライ―「熱ないから。正常だから。」」

私が心配するよりも早く答えたライ。

「…照れてんの！…分かれよ！それくらい！」

そう言ってばつが悪そうに

自分の髪をくしゃっとしながら言ったライに

思わずクスッと笑ってしまった。

「何だよ？」

「可愛いなぁって思って。」

そう言うと一気に不満そうな顔になったライ。

「…また子供扱いかよ。」

「はいはい。ほら、食べるよ。冷めちゃう。」

不機嫌そうなライに私は食べるのを促した。

気づいてないはず。

顔、赤くなってないよね？

夕飯を食べるのを再開してからもずっと

胸のドキドキが治まらない私に

どうか気づいていませんように

って思いながら私は夕飯を食べ終えた。