講義が始まる3分前に着いた私は

ゼーゼー言いながら席に着いた。

「おはよ。志穂。…大丈夫?」

「おはよ。…大丈夫。」

隣の席に座って

既にノートを開いて準備していた友達、鈴は

そんな私を心配そうに見つめた。

「そう言えば、志穂この前のコンパで蒼先輩に標的にされてたでしょ?ちゃんと帰れた?」

「うん…帰れたよ。」

高校生男子を拾って。

なんて口が避けても言えない。

「そっか。良かった~!志穂、千鳥足で帰ってたから心配で心配で。」

「あははは…」

上手く笑えなかった。

きっと、あの日

ライが私を家まで運んでくれたのだと思う。

アコギと自分のボストンバックも持って。

大変だっただろうな…

「あとね、志穂――「講義始めるぞ~」」

鈴が何かを言いかけたが

その声は教授によってかき消された。