桜の季節、またふたりで

『えっ、受け取っちゃったの?』


『うん、小さな箱を手にのせられて、なんだろうって思って』


『うそ、それって五十嵐さんの前で?』


『そういえばそうだね』


『美春、ニブすぎるのも時には罪だよ』


『そっか、そうだよね・・・』


『で、結局どうするつもりなの』


『今度の日曜、カズがうちに来ることになったから、そこでちゃんと別れようって言うつもり』


『美春、ちゃんと言える?』


『うん、たぶん・・・』


『心配だなぁ、なんか斉藤さんに泣かれたりしたら言えなくなりそうで』


『泣かないんじゃないかな』


『まあとにかく、もう五十嵐さんとやり直すって決めてるんだったら、それを押し通すまでだよ』



電話を切ったあと、いろいろ考えた。


カズと過ごした時間は、楽しかった。


でも、いつもどこかで、竣くんがここにいたらどうなんだろう、って想像してしまう自分がいた。