桜の季節、またふたりで

「俺、結婚してないし、誰ともつきあってないけど」


「そ、そうですか・・・」


「俺は意外と、一途なんだからな」


「すみません」


立場ないよ、私。


自転車を無事に積み終えて、私が住んでるマンションまで送ってもらうことになった。


「私、竣くんのお母さんと私の父がW不倫してて、それを知った竣くんが私から離れていったんだとも思ってた」


こうなったら、何でも話してしまおうって思った。


「それはないな。


母さんの相手は、かなり年下のトラック運転手だったらしいから。


もしそんなドラマみたいなことあっても、俺は別れねーよ。


だって、俺たちには関係ないだろ?」


「そっか、想像力たくましすぎたね」


「だな」


不思議。


何年も会っていなかったのに、何も気にしないで話せるなんて。