桜の季節、またふたりで

私も、竣くんに全部打ち明けた。


竣くんに何度も電話したりメールしたりしたこと。


竣くんのマンションや整備工場にも行ったこと。


カズと同じ大学に合格して、1年の夏からつきあっていること。


お母さんが亡くなって、一人になったこと。


カズが支えてくれて、同棲したこと。


カズは小学校教師になって、地元にいること。


東京で一人暮らししていること。


キーホルダーと鍵を、大切にしていること。


「だから、カズときちんとするまで、私は・・・」


「わかった、待ってるからな」


竣くんは、どこまでも優しかった。


この優しさに甘えていいのか、一瞬迷った。


そして、カズに別れを告げなければならない覚悟も。


「そういえば美春、俺の店にどうやって来たんだ?」


「えっと、情報紙見たお店の近くから、バスに乗ったよ」


「その店までは?」


「あっ!」