桜の季節、またふたりで

「どうぞ」


「お、おじゃまします」


パチン、と電気がついて、シンプルな部屋が見えてきた。


ふたりで選んだソファーがあった。


「テキトーに座って」


「はい」


「なんか飲む?」


「いえ」


「さっきコーヒー飲んだしな」


竣くんは、私の右隣に座った。


また、気まずい沈黙。


せっかく、ここまで来たんだ。


もう玉砕覚悟で、聞きたいことを全部聞いてしまおう。


口を開きかけたら、


「反則だよな、美春は」


竣くんが話し出した。


「えっ?」


反則って、どういう意味?


「美春、すごいキレイになって突然現れるから、どうしていいかわかんねーよ」


「えっ?」


「ごめんな、美春。


俺の勝手で、心配かけたよな」


俺の勝手って、どういうこと?