桜の季節、またふたりで

「すみません、この店舗へはどうやって行けばいいですか?」


私は、情報紙を指さしながら営業マンに聞いた。


「えっ、そ、そうですね、こちらはバスで行かれたらいいと思います。


ここを出て左に5分くらい歩いたバス停から乗って・・・」


「ありがとうございます、すみません、また来ます!」


私はペコリとおじぎして、ダッシュで店舗を出た。


他店へ行くなんてかなりのひんしゅく者だけど、恥ずかしいとか言ってられなかった。


バス停で待ちながら、スマホで行き方を調べた。


営業時間内には着きそうだ。


突然押しかけても、竣くんはいないかもしれない。


でも、土曜日は出勤かもしれないし。


だけど、竣くんはもう、結婚したり誰かとつきあっていたりしてるかもしれない。


今さら私と会ったって、竣くんにとっては迷惑でしかないのかもしれない。