桜の季節、またふたりで

そんな感じで、午前中1軒、お昼を食べてから午後2軒まわった。


最後の1軒に着いた時は、もう夕方になってしまった。


同じようにアンケート用紙に記入して、整備スペースを見て、ソファーに座って待っていた。


目の前のテーブルに、その会社が作っている情報紙が置いてあって、なんとなく手にとってパラパラめくっていた。


新車のデザイン担当者がコンセプトを紹介していたり、有名人が愛車と写真におさまっていたりした。


最後の方に、その会社の店舗紹介記事があって、店長や営業マン、受付担当者の写真の下に、整備士が並んで写っている写真があった。





その真ん中に、竣くんがいた。


何度も何度も、確かめた。


知らないうちに、涙が流れていた。


竣くんは、東京のこの店舗にいるんだ。



「お客さま、大丈夫ですか?」


情報紙を見ながら泣いている私に、担当の営業マンはかなり驚いていた。