そして、金曜日。


新入社員歓迎会とはいうものの、何かにかこつけて飲みたいだけみたいだけど、編集部の飲み会に参加した。


ありがたいことに、私なんかのために部のみんなが参加してくれた。


最初に自己紹介したあとに、


「神田ちゃーん、彼氏いるの?」


と、部で一番チャラい先輩に聞かれた。


「はい、います」


「なーんだ、俺けっこうタイプだったのに」


私は、曖昧に笑ってごまかした。


その後はいじられることも少なくて、ほっとした。


「神田は、車の免許もってるのか?」


音田チーフは、私のことを『神田』って呼ぶ。


「もってますけど、ペーパードライバーです」


「ちょうどいいや、今うちで車に詳しくないド素人の体験レポの企画あがってんだよ。


神田、週末ディーラー行ってさ、レポートを俺に提出しろ」