ほぼ男性、という環境は覚悟していたものの。


机の上はパソコンの前だけが辛うじてあいているだけで、両サイドはうず高く資料らしきもので埋めつくされている。


そんな机が10個ほど並び、奥には40代くらいの編集長が座っていた。


「本日よりお世話になります、神田美春と申します。


よろしくお願いいたします」


「神田さんね、編集長の宮島です。


何かあったら、神田さんの指導係は、えっと・・・音田、ちょっと」


「はい」


「今日からしばらくうちに来る、神田さん。


神田さん、彼はチーフの音田さん。


じゃ、後はよろしくな」


宮島編集長は、あわただしく支度をして出ていった。


「神田さんね、君も車に興味ないタイプ?」


「・・・はい、すみません」


「いいって、たいがい興味なさそうな女子が最初にうちへ来るんだから」