桜の季節、またふたりで

この1年は、いろいろありすぎた。


一番大きかったのは、母のことだ。


私が大学2年になった今年の4月、母が自宅で倒れた。


夜勤の仕事を続けていた母は、私とはすれ違う生活だったけれど、高校生の頃のようにわざと避けるようなことはしなくなった。


顔を合わせれば、普通に会話していたし。


だから、カズとつきあうようになったことも、喜んでいた。


母が意識を失ったのは、おそらく夜勤明けで帰宅した朝9時すぎ。


その日1限があった私は、8時すぎに家を出ていた。


母は、私が帰宅した19時まで、一人きりだった。


倒れている母にふれたら、すでに冷たかった。


警察官が来て不審な点がないか確認をすませてから、ようやく母を布団に寝かせた。


カズとまどかに連絡をして、カズがすぐに来てくれた。


カズは自分のお母さんにいろいろ聞いたらしく、


「美春、大丈夫か?


美春のお母さん、葬儀のこととか何か言ってた?」


私をなぐさめたあと、冷静に対処してくれた。