…けれど、先程耳を掠めた声が拭えなくて。 「………」 もう一度立ち止まる。 ぴちょんぴちょん、と髪から雫が滴り落ちたのを手で拭ってから、深呼吸。 赤いゼラニウムが、行く場所はもう決まっているはず、とばかりにゆらりと揺れて。 心臓はバクバク言ってるけど。 顔はまだ熱を持ってるけど。 「……行かなきゃ」 ──答えは決まっているから。