「──おや、今日は夏妃さんの方が早かったみたいですね」 店主さんと二人で話していると、風鈴が涼やかに鳴って、誰かの来店を知らせる。 ここに来て、毎日会っている、彼の声だ。 「歩くん。今日はあたし、走ってきたから」 頬が緩みきったまま、羽島くん───歩くんに元気よく告げる。 ゼラニウム、無事に今日渡せました!とにこにこ顔で言えば、「良かったですね」と優しく笑ってくれた。 「歩くん、それ何?」