黒縁のメガネの奥の優しげな瞳と目が合う。 紺色に、水色のストライプのネクタイ。 …あ、あの校章。隣の学校の人だ。 「俺も夕立に降られちゃって。よかったら一緒にどうですか?」 羽島 歩(はしま あゆむ)と名乗った彼は、そう小さく微笑んだ。 そんな微笑みを見て、じっとりした雨とは違う、涼やかな何かが頬を掠めた気がした。 これって。 「風の匂い」 「……?」 「いえ、なんでも!あ、あたし、南津川 夏妃といいます」