「とりあえず、うちの隊で飯を食うか?」
斎藤さんが問う。
「別に食べなくても…あ!それより逃げなきゃ」
忘れてた!逃げなければあいつらに捕まる
あの部屋で変な薬を飲ませられる
それだけはもう嫌だ!
「食べないと逃げれないのでは」
そう、原田さんが言う。
斎藤さんと原田さんについて行ってご飯を頂くのも魅力的だけど…
幕府の人なら私はまたあの部屋に閉じ込められる。
「食べなくても多分、大丈夫です。それより一つ聞かせてください。」
「なんだ?」
「斎藤さんと原田さんは幕府側の人間ですか?」
「ああ、新撰組という隊に入っている。」
顔の血の気が一気に無くなる事が自分の顔でも分かった。
「なら失礼します。ここで私と会った事を忘れて下さい。忘れなくても構いません。でも、誰にも私と会った事を言わないで下さい。お願いします」
そう言ってお辞儀した。
これで断られたらきっと…捕まる。
「なぜ?」
恐る恐る言った。
「私は…幕府に誘拐されて…監禁されて…逃げてきたからです。また、変な薬を飲まされてあの部屋に閉じ込められる事は…もう嫌です…」
あの時の事を考えると自然と涙が出てきた。
「…分かった。では、次あった時、手合わせを願いたい。」
そう、斎藤さんが言った。
「何故…?」
「私はお前に負けた。だからもう1度手合わせしたい。」
原田さんが唖然としてる。
「斎藤が…負けた?」
「分かりました。では、次お会いした時に…では、失礼します」
そうお辞儀して走っていった。
早く、早く、早く逃げなきゃ!