「筑内先輩」
いつものように筑内先輩に絵を確認してもらう。
「……これで…良いです……」
「そうですか……」
私は自分が描いた絵を見る。
「この人が…筑内先輩の…好きな人なんてすか?」
「はい!!!」
声がまた急に大きくなった……。
「小原絵美さん、あなたが好きです」
筑内先輩は私の目を見つめると、突然目をそらし
「すいません…突然……。
驚きましたよね?」
顔を赤くして、声が小さくなった。
「少し…だけです」
「えっ……」
「私が絵を描いてるんですよ?
だから…分かるじゃないですか…」
「そう…ですね……」
「どうして好きなんですか…」
「えっ?」
「私の事…好きなんですよね?」
「はい!」
再び大きくなった声が
「好きです」
小さくなる筑内先輩。
「僕は…昼食時間はいつも化学教室に居て…。
弁当を食べたり…受験勉強をしていて…。
その時に向かいの美術室で楽しそうに絵を描いている君を見て…ドキドキして…君が来るのを待つようになってました…」
「私の事をずっと…見ていたんですね……。
気付かなかった……」
「ずっと見続けていたわけではないです。
チラッと…」
「チラッと…」
「何回か…」
「何回か…」
「何十回か…です」
何十回…。