そんなある金曜日。

その日は授業参観だった。

授業参観が終わって、部活に行っていつも通りワイワイ騒いで、桜と美鈴は帰ってしまったので、違う部活の部員と帰ろうと玄関に向かっていた。

その途中に和子先生の教室があるので、ふと和子先生の教室をみた。

一瞬見ただけだが、そこに和子先生がいることが分かった。

「和子先生…」

そう呟いていると、近くにいた部活の顧問に

「どうかしたの?」

と話かかけられた。

さっきのつぶやきから察したのかその先生に、

「和子先生、3年生に和子先生って話しかけてもらえてうれしいっていってたよ。」

そう言われた。

その言葉を言ったあと、顧問の先生は去っていった。

部員達に置いてかれた私は一人になった。

そこでふと私はさっきの顧問の先生の言葉を思い出して、

もうチャンスはないのかも知れない。

そう思った私の足は、和子先生の教室に向かっていた。