「おばちゃん、これ、頂戴。」
私は水色の包み紙に包まれたラムネを三つカウンターに置いた。
「60円ね、毎度あり。」
60円を渡し、ラムネを受け取ると傘を差さないまま土砂降りの外へ出た。
一瞬で全身が濡れる・・・寒い、冷たい。
空を見上げる。どんよりとした雲は重くて暗くてあやふやで小汚くて

今の私に似ているなって思った。


・・・なんでこんなことになっているのか自分でもよくわからない。
ふいに胸が痛くてなって嫌なこと思い出して胸の痛みが増して、
今日で今のクラスが終わってしまうのにそんなのどうでも良くなって
学校を飛び出して。

気が付いたら自分の家の近くの駄菓子屋に来ていて

・・・ラムネが食べたいと思っていた。


あぁそうだラムネ。

私はポケットからラムネを一つ取り出すと口の中に放り込んだ。

「・・・あっま・・・」


舌の上でラムネはじんわりと溶けて―――消えた。


目頭が熱くなる。目の前がぼやけてきたので慌ててもう一つラムネを口の中に放り込んだ。