さて、廊下に出て
赤絨毯が敷かれている方に歩くと
何か高そうな扉が、俺の前に建っていた。
「何か、入りづらいな...。」
只々、友人に会うためなのに
何故か入りづらい雰囲気に押されてる自分に呆れつつ
どうしようかと思っていた時
「澪凜、入らないのか?」
扉の前に 戸惑ってる中
後ろから声がしたので そっちに振り向くと
「...冬樹」
冬樹...彼も光貴さんの息子であり、
夏樹の双子の弟であり、 俺の友人だ。
「こんな所で 何してんだ?」
「...別に、入ろうとしてただけだ。」
「確かに、この扉 開けづらいよな(笑)」
...冬樹には 敵わんな。
「よぉ!お二人さん、お揃いで〜♪」
「翠春(スバル)、お前も呼ばれてたんだな。」
皇 翠春(スメラギ スバル)
俺の親友でありライバルな存在関係だ。
「まぁーね!」
――――ガチャ...
躊躇はしたが、気なんて使ってやらん
あいつに気を使うなんて 歯痒くて無理だ。
「おいっ、ノックしないで入る奴は 誰だっ!!」
......夏樹の怒鳴り声が この部屋中に
いや、廊下中にも響いた。
相変わらず、うるさい奴だ。
「...て、なんだ お前らか。」
「お前らって、夏兄が呼んだんだろう。」
「そんなに怒るなよ、ふーくんw」
会った早々、喧嘩ですか...この兄弟は。。
「で、私達を呼んだ理由は?」
「それにしても、女装にあってんな...澪凜。」
「顔が元々、綺麗ですからね。」
「うん、ホント 本性を知らなければ...女の子にしか見えないよね〜♪」
......こいつらに、俺を揶揄わせる為に呼んだのかな?
「...悪い、、実はな お前らはもう気付いてると思うが
今回の新入生は かなり有能な奴が揃ってる」
「そーだね!」
「私が気付いてないとでも?」
「クス...やはり 流石ですね、澪凜と翠春は。」
「と言うことで 上手くやってくれよ?」
当然だ、面倒事はごめんだからな。。
話が終わりのようなので、
ドアに手をかけると あることを思い出した。
「あ、夏樹 明日 14時くらいに帰るから」
「わかった、モデルの仕事か?」
「あぁ、あいつの夢だったからな...。」
そう...俺の、大事なあいつの夢。。
「そろそろ、魔力測定の時間だから行くぞ。」
冬樹と翠春の後を追うように
俺も 魔力強化室に向かった...。
「...澪凜、頼んだぞ。」
夏樹の言葉は 春風のように静かに消えていった。