昔、私の病気がまだ軽かった頃。

私の病室には毎日のように家族や友達がお見舞いに来てくれた。

『大丈夫、絶対治るよ‼』
『1人じゃないよ!みんな、仲間だからね!』

私は、そんな言葉を無邪気に信じてた。

『うん!頑張るね』
『ホントにありがとね…!』


私はあまりにも純粋で。
あまりにも真剣に元気になれる、と信じていて。

……だからこそ、皆も現実を言えなかったんだと思う。


現実はいつも残酷だった。


ちょうど、天気予報では桜前線の図が表示されていた。

『……桜も咲きそうですが…急な天気の変化に注意が必要……とくに今週は寒気の影響…雪が降る可能性も…』

桜なのに雪…?
不思議に思ったのを覚えている。

………先生に連れられていった両親が、帰って来ない。

(探しに行くかぁ……)

私はパーカーを羽織って病室を後にした。