「……失礼します」
「はい、海慧ちゃん?どうぞ、入って」


ガラッ…と診察室のドアを開ける。

目の前でイスをくるっ、と回転させてこっちを見たのは、私の担当医さんの佐藤茜音先生。



「いらっしゃい。ここ座って?」


先生は目の前のイスを手で示した。


「…………はい」


私は大人しくイスに腰かけた。


今日は、どんなことをさせられるんだろ……

私は不安でいっぱいになった。

先生は笑顔を消して、私の目をじっと見つめた。
長年付き合ってきた私だから分かる。



この仕草は。




………悪いことを伝えようとしている時の先生の、癖。