『……わあ、…キレイ………』

飛び出した私の目の前に広がるのは、とてもキレイな桜並木。

それはもう、200メートル以上にわたって桜が咲いていた。


あいにく、空は真っ暗な雲が立ち込めていたけど。

……初めて外に出た私の胸を打つには十分だった。


しばらくの間、桜並木の中をゆっくりと歩く。

ふと、前から近付いてきたのは1組のカップル。

『わー、めっちゃきれい!連れてきてくれてありがと』
『そんなことねぇって。喜んでくれて嬉しい』

彼女は彼氏の腕を組み、甘えた声で笑っている。

………いいな…。

仲がよさそうな2人を見ていると、こんなに苦しんでいる私が馬鹿みたい。

(………ダメダメ…。こんなこと思うために逃げてきたんじゃないのに………)

私は頭を振って、マイナスな考えを打ち消した。