夢を、みていた。


「…………待って、皆っ!お父さん、お母さん‼」


昔の、夢を。



「行かないでっ!待って‼」



夢の中で皆は、振り向きもせず、ただ歩いていく。

私は、座り込んだまま動かない。

ただ、声をあげるだけ。


「嫌っ、行かないで‼ねぇ、ねぇってば‼」


皆の背中が、白くぼやけていく。

そのまま、何も見えなくなって、



「…………っ」
私は、パッと目を開いた。

…白い天井。

何回、この天井のシミを数えたことだろう。


「はぁ………」


私は、小さくため息をついて起き上がった。


「海慧ちゃん?起きた?」


ドアがノックされ、人影が声と一緒に入ってくる。

一瞬、期待してドアのほうをみるけど、

入ってきたのは、家族ではなく。

顔馴染みの看護師………穂波さん。