「グスン…グスン…」
私は自然に涙が出てきた。
もう、どうにでもなれ。
このまま野宿して…やっぱり凍え死ぬという結末が待っているのか。
「ちょ、泣くなよ。」
男性は困ったような顔をして、私にハンカチを渡した。
「ず、ずみません…」
私はそのハンカチを受け取り、涙を拭いた。
「で、ここに居てもどうにもならないから…俺の家に来なよ。」
「はい?」
「ほら、早く乗って!俺も…寒いから。」
これって…新手のナンパ?
鍵を無くして悲しんでいる女性に、優しくするふりをして…自分の家に連れこんで
「ギャーーーー!」
私は大声で叫んだ。
「ちょ、バカ!!!声出すんじゃねえ!」
男性は無理やり私の口を塞ぎ、そのまま車に乗せた。

