「じゃ、私はこれで!」 そう言って蓮さんに頭を下げた。 そして玄関の扉を開けようとした時、 「あのさ、名前…聞いてなかったよね?」 蓮さんは私に問いかけた。 「あ、そうでしたね!私の名前は坂下 友里恵です。」 「坂下さんね…、わかった。」 『坂下さん』か…… 呼び捨てで呼んでもらえると思ったのにな。 「じゃ、また!」 私は自分の悲しみが彼に伝わらないように元気に挨拶した。 「またね。」 蓮さんも笑顔で返事をしてくれた。