水でも飲んでいるのだろうか。 そう思った私は冷たいフローリングへ足をおろした。 リビングのドアを開け、爽太の姿を探すと薄暗い中、一つの大きな黒い影がソファに丸まって見えた。 「爽太…?」 その黒い影は私の声にピクリと肩を弾ませ 『なな…』と私の名前を弱々しく呼んだ。 ただ名前を呼ばれただけなのに。 今 爽太は何かに悲しんでいると思うのは気のせいだろうか。