『部屋に行ったけど出てこないし……』

「へっ!?あ、ああ……ごめんなさい。昨日は知り合いとご飯を食べに行ってて」


嘘は言っていない。


何事もなければ城谷さんと食事に行ったと言っても大丈夫だろうけど、この状況下とさっぱり記憶がないので下手なことを言えない。


『そっか。それならいいんだけど』


安心したというような薫くんの優しい声に胸が苦しくなる。


どうにか昨日あったことを確認しなくちゃいけない。

でも、もし本当に城谷さんと何かあったらどうしよう。

平気な顔をして薫くんの隣にいるなんて……できない。