『好きだよ』


甘く響いて、頭を撫でられた。

壊れ物に触れるような、大きな動物が小さな動物に触れるような優しい仕草だった。

その言葉に応えようにも脳みそが痺れて、指先一つ上手く動かせない。


きっとこれは夢の中だ。

そう思って私は小さく微笑んだ。


「私も……薫くん」


目を開けると、眩しい光に包まれた。


「……あれ?」


光に目が慣れてきてチカチカと点滅する視界。

ズクズクと脈打つような頭痛に私は顔をしかめた。


「あ、白戸さんおはよー」


眠そうに間延びした男の人の声が後ろから聞こえてきて、私はビクリと肩を揺らした。

聞き覚えのある、女性を虜にする心地良い甘い低音ボイス。


慌てて身体を起こすと私の身体を隠すようにしていたタオルケットがずり落ちて、シーツの上に落ちた。