扉の近くに休憩用にと設置されたテーブルと椅子に座って飲み物の入った紙コップに口をつけながら東雲くんは私を見上げている。 「え、でも……撮影開始にはまだ」 腕時計で時間を確認すると予定の時間よりも10分も早い。 私は困惑しながら遅刻はしていないことを告げると、それが気に食わなかったのか東雲くんは空になった紙コップをくしゃりと握り潰した。