「私ね、女の子も大好きなの」 北原さんがにっこりと、綺麗に笑ったとほぼ同時に後ろから薫くんに強く腕を掴まれた。 「か、薫くん?」 何も言わずに私を引っ張っていく薫くんに困惑して、しばらく歩いたところで声をかける。 薫くんが唐突に立ち止まるからその背中に鼻をぶつけた。 痛みに悶えていると、薫くんが私の手に何かを握らせてきた。 「優衣ちゃん、今すぐうがいして」 「へ?」 呆然と手の中を見下ろせば、小さな小瓶に入ったうがい薬。