「……もう、どっちが悪者かわからないな。」



城谷さんが小さく呟く。

城谷さん達からして見れば、私達が悪者で――私達からして見れば、城谷さん達が悪者。


それでもいいし、むしろその方がちょうどいい。



「恨みっこなしですよ」



そうして小さく微笑んだ私は、城谷さんから見れば、都合の良い自分勝手な女のように映っただろうか。



「っ、そうだね」



ガラスの靴を拾った王子様に剣の切っ先を向けた――王子様になれなかったその人は、ぎこちなく笑って謝罪の言葉を口にした。