「……ごめん、優衣ちゃん」 城谷さんを押し退けるようにして、薫くんが私の元へ歩み寄る。 「ちょっとだけ、不安になってた」 薫くんの両手が私の頬を包み込むように触れた。 いつぶりだろう――こうして彼と素肌を触れ合わせたのは。 「言い訳をしてもいい?」 「私も、言い訳したいことがたくさんあって」 困り果てたように言葉を紡ぐ薫くんにそう返せば、きょとんとした表情が返ってきた。 それから、薫くんは安心したようにふわりと笑って、私のおでこに自身のおでこをくっつけた。