「そんな顔するほど砂川くんと一緒にいるのが辛い?」

「え?」



そんなに酷い顔をしていたのか。私は自分でもわかるくらい笑顔を引き攣らせた。



「……ね、俺にしない?」

「は、え、あの」



城谷さんの腕が頬に伸びてきて、指先が触れる。



「砂川くんと別れられないなら2番目でもいいから」

「意味が、よく」

「わからない?」



城谷さんの切れ長の目が細められて、怪しげに唇が三日月を描いた。



「ね、浮気しちゃおっか?あの夜みたいに」



一瞬、息が詰まった。


城谷さんの大きな手が、私の手首を掴む。

次に私が生命活動を再開した時には城谷さんの整った顔がすぐ鼻先にあって――次に私が目にしたのは、城谷さんの驚いた表情だった。