「……やっちゃった。」 ――薫くんを傷付けて、泣かせた。 たぶん薫くんは私が誰かと一晩過ごしたこと、今朝までその人といたことに気付いていた。 それでも私が言葉を濁して認めることも弁解することもしないから、どうにか自分の気持ちを押し込めて私を「信じる」と言ってくれたんだろう。 私を傷付けないために。 薫くんはそういう人だって、わかっているはずなのに。 「ごめん、なさい……」