「薫くん、私、ごめんなさい。頭グチャグチャで」 支離滅裂に言い訳の言葉を並べるけれど、完全に耳を閉ざしてしまった様子の彼には何一つ届かない。 恋人に拒絶されたと、ただそれだけが彼の心の中を支配しているんだろう。 薫くんはくしゃりと整った顔を歪ませて、その瞳から涙を零す寸前で私に背を向けた。 「……ごめん、また今度話すから。俺、戻るね」 震えて上擦るその声の余韻が消えた時にはもう薫くんの姿は見えなくて、私は膝から崩れ落ちて力なく床に座り込んだ。