その振り返った先にいたのは…彼だった。

私が高校時代にずっと好きだった、
橘 春輝(たちばな はるき)くんだった。

私が驚きのあまり、声を出せないでいると、
「大丈夫?」と優しく声を掛けてくれた橘くんも私だと気づくと、とても驚いたみたいで…



ずっと好きだった人が…もう会うはずはないと思っていた人が、目の前にいる。


彼は私の一段下に立っていて、高校時代でもこんな近い距離になったことはなかった。


そんなことをぼんやりと考えながら、自然と彼のことを見つめてしまっていた。

高校生の時と変わらない、男の子の割には白い肌。

理系男子らしい、理知的で切れ長な目も変わってなくて…
高校時代は掛けてなかった眼鏡を掛けていた。ごく一般的な黒縁の眼鏡。

身長も伸びたみたい。
私より一段下にいるのに私が見上げてしまうもの。