少し、薄暗い階段を上がっていく。

春になったとはいえ、光の差さない非常階段はとても寒くて…

その上、運動不足な私にとっては2階分階段を上がるのは予想していたよりもしんどかった。

手に抱えてる荷物もだんだんと重く夏まで来たような気がするし…

朝からこんな事になるなんて、もしかしたら今日は厄日なのかもしれない…と思っていた時だった。

ノロノロと、でも確実に階段を上っていたはずの私の足が一段踏みはずしてしまった。

あっ!と思い、体のバランスを保とうとした時には、私の体は後ろ向きに斜めに傾き始めていた。

落ちる!と思い、反射的な目を閉じ、訪れるであろう痛みに覚悟を決めた、その時、






私が想像していたよりも早く、でも想像より弱く、少し柔らかい衝撃を背中に感じた。

体は、斜めのまま、止まっている気がする。

あまりの衝撃に頭が追いついてないのかな、と思ってい、目を開けると私が想像していた光景はなくて…

視界はさっきまでと変破った様子も無く、どうしたんだろうと思っていると、私が抱えていた段ボールごと、私を包むように男性の手が回されていることに気がついた。


その瞬間、現状を理解した私は、まず自分の足でしっかりと立ち、助けてくれた男性にきちんとお礼を言おうと、後ろを振り返った。