「そっかぁ。慣れるまではちょっと大変だね。総務部のみんな、どんな反応だった?」
と、彼と2人っきりの空気感にも慣れ、敬語が抜けた私が尋ねれば、彼は苦笑しながら
「すごい笑顔で迎えてくれたよ。
挨拶の後に食い気味で色々質問されたけど。」
と、答えてくれた。
彼の話を聞きながら、橘くんの登場にキラキラと目を輝かせる総務部の女性たちの姿が容易に想像できて、思わず苦笑してしまう。
それと同時に、改めて彼の人気ぶりを痛感するようで…
心の奥がざわざわしてくるのは何故だろう。
けれど、その違和感を顔に出さないように
「さすが、人気者だね。
みんな、橘くんが来るのすごい楽しみにしてたんだよ。」
と言えば、彼は
「全然、そんなことないよ。」
と、少し笑いながら、謙遜する。
このモテてるのに表に出さない感じが高校時代と変わってなくて…
懐かしいような、心の奥がうずくような不思議な気持ちになる。

