助けてもらったうえに、荷物を持ってもらうのは申し訳なくて

「大丈夫だよ。
私の仕事だし、そんなに重くないから。」

と言うと、彼は不服そうに

「さっき、階段から落ちそうだったのに?」

と、尋ねてくる。
図星を突かれて、私は何も言えなくなってしまう。

そんな私を見ながら、彼は
「俺も営業部に戻るところだったから、
そのついでだし、気にしなくていいよ。」

と、言ってくれたので仕方なく手伝ってもらうことにした。

けれど、届いた備品の説明や確認の署名を受け取らないといけないので私も彼と一緒に営業部へ向かって階段を上り始めた。

何を話せばいいか、分からなくて沈黙が再び訪れる。

私が歩く度、ローヒールのカツカツという音が響くだけで気まずさを感じていると、ようやく2階についたことが階数表示でわかった。


まだ着くには時間があると思った私は、彼のさっきの発言に対する疑問をぶつけてみることにした。