それでも、時計を見ると二時間強かかっていた。

「いたよぉぉぉ!」
「モグタンだぁぁぁ!」

スイーツランドの入園ゲートを見るなり恵と幸助が絶叫する。
二人の視線に目を向け、僕はプッと吹き出す。

相変わらず、お惚け顔だな。

「いやん、超ラブリー」

でも、恵にはそう見えるらしい。幸助と一緒にモグタンに駆け寄る。

「しかし、凄い人だな」

ネットでチケットは事前購入した。だからまだよかったが、入場口にはすでに長蛇の列ができていた。そこに行儀良く並ぶ。そして、やっと入場できたのは、もう昼も近い十一時四十分だった。

「今後一切、国民の休日には遊びに出ない!」

叔父の決断を聞きながら、愚問だが、トヨ子ちゃんがもし『遊びに行こう』と言ったらどうするのだと心の中で質問する。

「ねぇねぇ、何に乗る?」

恵と幸助は瞳を輝かせながら、人、人、人の園を見回す。

「私は絶叫系のマシーンに乗りたい」
「幸助は身長制限で……微妙だな」

叔父の言葉に「ええっ、私一人で乗れって?」と恵がブー垂れると、「大丈夫だよ、こいつが一緒に乗ってくれるから」と叔父が僕を指差す。

「冗談じゃない! 僕は絶叫系は……遠慮しておく」

あんなのに乗る奴の気が知れない、とそっぽを向く。



が、どうしてこうなるんだぁぁぁ!

トルネードに曲がりくねったジェットコースターの天辺で、「最高!」と万歳する恵。その横で僕はギュッと目を瞑る。